公開日: 2022.12.16 更新日: 2022.12.16
介護する側と、介護される側両方の負担を大きく減らせる福祉車両は、一般家庭でも必要性が高まっています。いざ福祉車両が必要になったら、どんな方法で利用したらよいのでしょうか。構造が特殊な福祉車両の利用方法は新車購入だけにとどまらず、中古車購入や所有車の改造、レンタカーやカーリースなど様々な方法があります。それぞれのサービスを徹底比較して、賢い福祉車両の利用方法を解説していきます。
福祉車両とは? どんな種類がある?
福祉車両は身体が不自由な方が車を利用しやすいように改造された車です。なかでも、乗り降りをサポートする機能が備わった車は「介護式福祉車両」と呼ばれ、用途に応じて以下のような種類があります。
回転シート・回転昇降シート(サイドリフト)
乗り降りしやすいよう、座席がドア方向へ回転するシートが装備された車は「回転シート搭載車」といいます。また座席の向きが変わるだけでなく、シートが車外にせり出し、車椅子から容易に乗り移れるように配慮された「電動回転昇降シート」もあります。
車いすスロープ
車いすに乗ったまま乗車できるように、車体後部に伸縮・折りたたみ可能なスロープを設けた車両は「車いすスロープ車」といい、傾斜角が緩やかな車ほど扱いやすいスロープ車といえるでしょう。傾斜の上り降りを補助する電動ウインチが装備された車もあります。
電動乗降リフト(リアリフト)
車いすに乗ったまま乗車できる福祉車両には「電動乗降リフト車」も存在します。車いすごとリフトに乗れば、あとは半自動で車体後部に格納されるため、介護する側の負担を大きく減らせるのが「電動乗降リフト車」の特徴です。ただし乗降装置が大型になるため、比較的大きな車両への搭載に限られます。
車いす収納クレーン
「車いす収納クレーン」は、車いすの積み下ろしを助けるクレーン付きの福祉車両です。車に小型のクレーンを搭載することで、重い車いすを持ち上げることなく車から出し入れできます。あくまで車いす単体を持ち上げるクレーンですので、人を乗せたまま乗降はできません。
福祉車両を使うならどの方法を利用すべき?
法人利用とは異なり、在宅介護での福祉車両の利用は、恒久的に使う場合もあれば、一時的に使いたい場合など様々なケースが考えられます。
そうなると利用期間と費用がマッチしなければムダなお金を支払うことになるので、必要とする期間に応じて利用する方法を選び分けるのが賢い福祉車両の使い方といえるでしょう。
車いすスロープ車を使う場合を前提に、新車購入・中古車購入・改造・レンタル・カーリースの利用方法を比較します。
新車購入
もっとも長く安心して使えるのは新車購入です。乗用車の購入と同じく、新車なら車体および装備品に長期保証が付くうえ、介護する側の負担を減らせる最新の福祉車両を利用できます。
ただし、その費用は高い新車価格に加え、仕様や装備品に応じて上昇します。福祉車両の購入の際は消費税の非課税やその他税金の減免に加え、自治体の助成金などが適用される場合があるため、割引という観点では新車購入がもっともお得ですが、総支払額は相応に大きくなります。
頻繁に長距離移動に使う場合や、恒久的あるいは車の寿命と同じくらい長期に渡って福祉車両を利用する場合、最新の設備を利用したい場合には、高い費用を支払ってでも新車購入が適しているでしょう。
トヨタのコンパクトミニバン「シエンタ」の車いすスロープ車を参考に挙げると、新車価格は仕様に応じて200万〜300万円ほどです。そのぶん、コンパクトな車体でもスロープ傾斜角が抑えられ、もっとも高価な仕様では乗車時に車高を下げることで、さらに角度が緩やかになる機構も組み込まれます。
中古車購入
中古車購入は、搭載される設備はやや古いものの、車両購入費用が新車より安く抑えられる点がメリットです。安価なものでは数十万円から購入できるうえ、中古車の場合であっても消費税の非課税となり、助成金の対象となる場合もあります。また、中古車はすでに在庫がある車から選ぶので、装備の使用感を実際に確かめられるだけでなく、新車に比べて納期が早いという特徴もあります。
ただし、経年劣化により車体および装置の故障のリスクが高まってしまうのが中古車の難点です。また絶対的な市場流通量が多くないため、目当ての装備や車が自由に選べない点もデメリットといえるでしょう。
中古の福祉車両購入は、探す手間を掛けてでも初期費用を抑えたい方におすすめです。その他、車の使用頻度が少ない場合や介護期間が定まっている場合にも適しています。
改造
福祉車両への改造は、現在使用している車に介護設備を追加設置する方法です。使い慣れた車を福祉車両として使えるうえ、必要に応じた仕様・装備が選べることに利点があります。
ただしスロープ車などへの改造は十分な荷室高がある車に限られるうえ、メーカーが販売する車のような大規模な改造はできず、スロープの傾斜が大きくなりがちで使用感には劣ります。また、改造が終わるまでには長い時間がかかるうえ、その間は車が利用できません。
しっかりとしたスロープ車へ改造するための費用は80万円ほどです。改造費用の消費税も非課税で、車両購入ほどの額ではありませんが助成金の対象となる場合もあります。改造は、新車購入したばかりの車を福祉車両として使いたい場合や、現在お乗りの車に思い入れがある方に適した方法です。
レンタル
福祉車両のレンタカーもあります。必要なときだけ借りられるため、臨時で福祉車両が必要になった際に最適な利用方法といえるでしょう。費用は小型のスロープ車で1日あたり5,000〜1万円、大型車の場合は1万3,000〜2万5,000円程度となり、レンタカーでも消費税はかかりません。
1週間単位や1ヵ月単位など長期利用することで割引されるサービスを行っている業者もありますが、通常のレンタカーと同じく長期的に渡って使うとなると費用が高額になるため、あくまで極短期間の臨時利用といった使い方が適切といえるでしょう。また通常のレンタカーと同様、レンタル時期によっては10〜20%ほど高いハイシーズン料金が適用される場合があります。
カーリース
近年は福祉車両を取り扱っているカーリースも増えています。カーリースは使用期間に応じたリース料金を支払って車を利用できるサービスで、購入のためにまとまった費用を準備することなく、購入した際と同じように福祉車両を利用できます。
期限になると車は返却しなければなりませんが、リース延長や車両を買い上げることでそのまま使い続けられる場合もあります。業者ごとに定められた最低契約期間までは使い続けなければならない決まりはあるものの、短期から長期まで柔軟に使えるのがカーリースの特徴です。
利用料金が高い代わりに新車を借りられる新車カーリースは、数年単位の長期利用向けといえるでしょう。中古車をリースすることで費用が安価な中古カーリースは、数ヵ月〜数年の短中期利用に適しています。費用はリースする車によって変わるものの、軽自動車のスロープ車なら月額2万5,000円前後から利用できます。もちろんカーリースの利用料も福祉車両なら消費税は非課税です。
予定が定まらない在宅介護ならカーリースが賢い選択
どの方法で福祉車両を使うかは、使用期間がおおよその目安になります。極短期間ならレンタカー、数年程度なら中古車購入か改造、恒久的に使うなら新車購入がよいでしょう。
しかし、福祉車両の厳密な使用期間を予測するのは難しいものです。また福祉車両は、その特殊性から売却価格が安く、必要がなくなれば処分に困ってしまうことも選び方を難しくさせます。
その点、使用期間がある程度自由に決められるカーリースなら、使う期間のリース料金を支払い不要になったら返却するだけなので、どのような事態になっても柔軟に対応できます。
関東で中古の福祉車両をお探しならニチゴカーリースへ
ニチゴカーリースは東京・埼玉・千葉・神奈川に店舗を構え、関東全域を利用対象地域とする中古車カーリースです。乗用はもちろん福祉車両も取り扱っており、なかでも需要が高いスロープ式の軽自動車・普通車・バンなどを取り揃えています。
最短3営業日の短期間で納車準備ができるのは中古車カーリースならではの強みといえるでしょう。1ヵ月単位での契約が可能で、利用開始から数ヵ月間の最短契約期間さえ過ぎていれば、解約希望日から30日前の申し出で中途解約金などのペナルティがなく返却できるので、必要な期間だけ使えます。
福祉車両を利用しやすい形で提供することで、もっと身近なものとして活用していただき、少しでも在宅介護の手助けになることを願っています。
はじめて福祉車両を利用する方が、実際の使用感を確かめるのにもカーリースは役立ちます。また、ニチゴカーリースでは法人利用もできるため、車両準備が整うまでのつなぎや代車の確保などにもご活用いただけます。
執筆者プロフィール
伊藤友春
2016年より自動車専門ライターとして活動開始。自動車保険・法律・モータースポーツなど、自動車に関わる幅広い記事やコラムを執筆。
※本記事は2022年12月16日時点の情報で掲載しています。また記載内容については一般的な情報に基づいて作成しており、当社がその内容を保証するものではありません。